金魚玉の壊しかた
「どうして……」

私は、虹庵の愛に応えられなかったのだろう。

「どうして……」

こんなことを考えてしまう自分は愚かだ。

それでも思ってしまう。


あんな優しい人の愛を受け止めることができなくて、

どうして一番欲しい相手からその言葉はもらえないのかと──


「どうして……遊水ではないのだ……?」


漏らしてしまった本音に、「そいつは悪かったな」と円士郎が完全に意味を取り違えた──ほっとする反応をして、私は少しだけ冷静さを取り戻せた。

「ああ、違うんだ」

顔を上げて、くすりと円士郎に笑いかけた。

「そういう意味ではなくて……」

黙って私の体を抱き締めたまま、言葉を待ってくれる円士郎に、


胸の内を吐露した。


虹庵とのこと。

それを断って、

そして

虹庵を──傷つけてしまったこと。




そうしたら




円士郎は驚くべき言の葉を唇に乗せた。
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