金魚玉の壊しかた
力強い腕にすっぽりと包まれて、
円士郎の大きな手が、私の頭を彼の胸に押しつけた。

「え……?」

「誤解はすんなよ」

驚いて混乱する私の耳元で、円士郎の声が囁いた。


「俺にはこんなことしかしてやれねえが……胸くらい貸してやるから、気が済むまで泣けよ」



何だこの女慣れした態度は……!



遊水と違って、私よりも確実に年下のくせに。
こちらがまだ男を知らないのが馬鹿みたいに思えるじゃないか。


私は心の中で毒づきながらも、何一つ口に出すことができなかった。


彼はふふっと、余裕を感じさせる笑い方をして、
しかしどこまでも優しい声音で言った。

「ま、何があったのか知らねーけどよ」



私の中で、必死に突っ張っていた棒のような何かが、へにゃりと機能を失ったのを感じた。



すがりついてもいいと、そう言われて──



円士郎の着物にしがみついて、
胸に顔を埋めて、

私は泣いた。
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