金魚玉の壊しかた
「知っていたのか……」

息を呑む。


小さな罅はたちまち、金魚玉全体に広がって

私は偽りの小さな世界が壊れる二つ目の音を聞いた。


円士郎は、

自分も知ったのはつい最近だと、
調べるような真似はしたくなかったが、自分の忍の者が勝手に教えてきたのだと、

そう言った。


結城家のような家ならば、確かに仕える隠密などもいておかしくない。
そう、常に様々な情報に通じておく必要のある武家ならば。



忍の者──



その響きに引っかかるものを感じ、記憶の中の何かが浮上してきそうになったが、

この時の私は結局その正体をわからないまま放置して、



「違うんだ」



円士郎の解釈の誤りを訂正した。



「私は確かに雨宮の娘だが──身分を持ち出して、虹庵殿の申し出を断っておきながら……私は今、もしも私に嫁いで欲しいと言ってきたのが遊水だったなら……受けたかもしれないと──そう思っていたんだ……」



最低だ。



ああ、


虹庵殿──

虹庵殿、申し訳ありません──




私は全てをさらけ出して、円士郎にしがみついてまた泣いた。
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