金魚玉の壊しかた
遊水に軽蔑された。


「どうしよう……円士郎殿……!」


私を離し、走り去った少女の後を追って駆け出して行こうとする円士郎の袖を捕まえて、私は震える声を絞り出した。


自業自得だ。

円士郎まで巻き込んで──

全部私の責任だ。


そんなことは明白だったが、それでも



嫌だ……!


そう思った。


前に、遊水のことは絶対に裏切らないと言っておきながら──私が今やったことは、円士郎と共に彼を裏切った、そういうことではないのか。

それを彼に目撃された。


遊水が残していった冷ややかな目が脳裏に焼きついて、私は震えた。


嫌だ。
遊水に嫌われたくない──


どうしよう……
どうしよう……


頭の中にはそんな思いだけが浮かんで──


「おい、落ち着け!」

円士郎が私の肩をつかんだ。

「大丈夫だ、二人は俺が今から追いかける。あんたは遊水にちゃんと説明しろ。俺のことは──心配するな。
留玖も説明すれば、きっとわかってくれる」

そう言い置いて、円士郎は私の手を素早く振り解いて、

おつるぎ様の落とした傘と自分の傘をつかんで、雨の中に飛び出して行ってしまった。
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