金魚玉の壊しかた
扉の奥から流れ出でてきた鼻を突く異臭に、私は彼がかけてくれた羽織の袖で口元を覆った。
なんだ、この臭いは……。
蝋燭に照らされて、頑丈そうに組まれた木製の格子が目に入る。
木の檻の向こうに敷かれた畳の上に、散乱した寝具が見えた。
ゴホ、ゴホという咳の音と、獣のもののような低いうめきが暗闇から聞こえ──
ぺたんと、私はその場に座り込んでしまった。
夏でも冷たい地の底の座敷牢には、人が居た。
橙色の光に向かって、怯えたように手をかざし、
山犬のように低く吼えるのは、
骸骨さながらにやせ衰え
かさかさに干からびた
一人の白髪の老人だった。
「この者は……」
「私が毒殺しようとして失敗した、伊羽家前当主──つまり我が父の成れの果てだ」
なんだ、この臭いは……。
蝋燭に照らされて、頑丈そうに組まれた木製の格子が目に入る。
木の檻の向こうに敷かれた畳の上に、散乱した寝具が見えた。
ゴホ、ゴホという咳の音と、獣のもののような低いうめきが暗闇から聞こえ──
ぺたんと、私はその場に座り込んでしまった。
夏でも冷たい地の底の座敷牢には、人が居た。
橙色の光に向かって、怯えたように手をかざし、
山犬のように低く吼えるのは、
骸骨さながらにやせ衰え
かさかさに干からびた
一人の白髪の老人だった。
「この者は……」
「私が毒殺しようとして失敗した、伊羽家前当主──つまり我が父の成れの果てだ」