クロスロードラヴァーズ


「泣け……言うたんは……あんさんやろ?なんで引くねん?」


「“ボーイズ系”だけど、お前も女なんだなって実感しちまったんだよ……。さっさと、涙とかいう煩わしい武器しまえっつうんだ!」


苛ただしげに言うと、火槌は透明なビニール袋に入った水色のハンカチを郁に手渡す。



「何やねん、あんさん……。ハンカチはオレ泣かした罰として借りとくけど。」


文句を言いつつも袋に入ったハンカチを受け取り、ビニールを破いて郁は目元を拭った。



「……ちゃんと洗って返すわ、これ。」


「要らねえよ。何が付いてるかわかんねえようなハンカチ。お前にやる。」


「しっつれいやな!洗う言うとるのに!デリカシーいう言葉知らへんの、あんさん!」


「泣き虫なボーイズ系にかけるデリカシーなんぞ知らねえよ。」


ツンッとそっぽを向く火槌に、郁はツカツカと早足で近づく。
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