この恋だけ、
ベッドに座ってプリントを見た。


ひどいよ、坂本。


病人にプリントなんて…
今全然やりたくないし。シャーペンすら持ってないしな。


『担任若いな。』


は?


隣を見ると、折原が寝っ転がったままこっちを見ている。


寝てたんじゃないの…?


『うん、二十代じゃん?』

『ふーん。』


……………。


ってそれだけ!?


『何、折原ヤキモチ?』
冗談混じりで言ってみる。

『うん。』


『…なっ………』
何『うん』って!?


『冗談。』


折原は、一人でクスクス笑う。


『なんだよ、寝るんじゃなかったの?』


『そうしようと思ってたけど…』


頭の中に、さっきの『起こしたら殺す。』が再生される。


もしや、私が起こしたとか言うんじゃ…


『私起こしてないよね!?坂本だよねっ!?』


『…。別に本当に殺さないし…。』


おぉー。
良かった良かった。


『でも、熱あるんじゃないの?しかも八度!』


『あぁ…、それなら大丈夫だよ。』


折原の顔が絶対何か企んでる顔になってる…


『何で?』


『お前にうつすから。』
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