この恋だけ、
さっきから顔が熱い。折原が、あんな近くに来るからいけないんだ。


『どうした?顔赤いけど…看護婦さん呼ぼっか?』


『お前のせいだ!』


なんて言うんだっけ…。
こういう性格の人。


あ、そうだ。
『S』だっけ!


『折原と一緒にいたくないから、その辺フラフラしてきます!』


『ふーん。』


『それから…、熱まだあるなら寝てた方がいいんじゃない?じゃあね!』


全然熱なんかあるように見えないけど、病人なわけだから。


って、病院にいる時点で私も病人か?


おもいっきりドアを開けて出たら、少し乱暴にドアを閉めた。


廊下をなんとなーく歩いてみるけど、病室って結構あるんだ…。


『高屋敷さん?』


『はい?』


名前を呼ばれて振り向くと、看護婦さんが立っていた。


『あ、良かった。今呼びに行こうと思ってたんだ。診察だからついてきてくれる?』


『はい。』


やっと診察だよ…。


看護婦さんについて行くと、診察室の前で止まった。

ガチャッとドアが開く。


『どうぞ、』


椅子を差し出す医者は、二十代半ばくらいで若い印象を受けた。
< 13 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop