この恋だけ、
『やだ。』


簡潔に、気持ちをまとめた。

『何でよ。』


『風邪がうつるでしょ。』

私の言葉に、また折原がにやける。何、また変な反応…


『風邪ひいてなかったら、してもいいんだ。』


『バカ』


ガラガラッ
また看護婦さんが入って来た。


『熱、計り終わった?』


看護婦さんの優しい笑み。

『五度二分でした。あ、折原君熱あるみたいですよ。ね?』


『ちょっとだけ…』


そう言って、看護婦さんに体温計を渡した。


『八度!珍しいわね。』


『はい…何ででしょうね。』


『読書と勉強のしすぎじゃない?頭が疲れてるのよ。たまには、ゆっくり休むことも大事よ?』


そう言い残すと、看護婦さんはまた病室を出て行った。


折原は、疲れたらしく、ため息をつきながら、ベッドに寝転がる。


さっきまで角度が上がっていたのに、いつの間にか戻っている。


こう言ってはなんだけど、全然熱があるように見えない。


『たまには、ゆっくり休むことも大事よ?』


私は、からかうようにして、看護婦さんの言葉を繰り返した。


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