オフィスレディの裏の顔
タクシーを降りると彼は私にこう言った。

「水沢さんちは?」

「このコンビニの裏ですけど。」

「送っていきますよ。」

「いえ、私は酔ってないので大丈夫です。それより吉田さん、どうやって帰るの?」
「適当に始発待って帰りますよ。」

「え!さっきタクシー拾うって・・・」

「大丈夫です、大丈夫です。」

そう言って、どうぞお帰りくださいと言った感じで彼は私を帰る方向へ押した。

「じゃあ帰りますよ?」

彼が首を縦にふったので、私は家に帰った。でも・・・やっぱり気になる。5分もしないうちに、私はもう一度さっきの場所に戻った。すると、彼はコンビニ前の木を背もたれにして座って寝ていた。

「吉田さん!こんなとこで寝ないでくださいよ!」

彼は目を開けて私を見ると、面倒くさそうに私を追い払った。

「大丈夫だから。水沢さんは帰って!」

こんな場所に酔っ払いを見捨てて帰るなんて、人としてどうなの?私は色々考えた。私の家に連れて帰るべきか?彼はそれを期待してわざとこんな行動をしているのか?私にはマナブという彼氏がいて、吉田さんにも確か彼女がいる。ただ酔い覚ましに泊めるのに問題はある?でも・・・実行する勇気はなかった。私はタクシーを拾って吉田さんを乗せることにした。

「吉田さん?タクシー拾いましょ?」

「大丈夫だって。」

彼は放っておいてくれという態度だった。

「吉田さんがこんなんじゃ、心配で帰れませんから。」

すると彼は立ち上がり、歩き始めた。

「吉田さん!どこ行くの?」

「あっちでタクシー拾う。本当に大丈夫だから。」

そう言って駅の方向に歩いて行った。ちょっとキレ気味の彼に私もイラっとし、私も家に帰った。
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