オフィスレディの裏の顔
翌週、会社で吉田さんに金曜のことを覚えてるか聞いてみた。

「ちゃんと帰れましたか?」

「おー、なんか悪かったな。」

「道端で寝てるんじゃないかと心配しましたよ?」

「始発まって帰ったわ。」

「タクシーで帰るって言ってたのに!」

「なんかまた寝てしまって、起きたら電車動いてる時間でな。」

「そうなんですか・・・」

「悪かったな。ほんま。懲りずにまたメシ行ってくれるか?」

「はい、いつでも。」

そしてすぐにまた飲みに行く約束をした。それから1週間後の月曜に。ところが、飲みに行く約束をしていた当日、吉田さんは会社に遅刻してきた。そして席につくとすぐ、今日は定時に上がれる?と私にメールをしてきた。私は大丈夫ですよ、と答えた。

定時後、ビルの1階の待ち合わせた場所で座って待ってると、10分くらい遅れて吉田さんがやってきた。

「ごめん!障害対応してて。」

「お疲れ様です。気になさらなくていいですよ。障害だってわかってましたし。」

「悪いなぁ。ほな行くか。今日な、車乗って来てんねん。」

「え!」

「お台場行こうと思って。電車だと面倒やろ?」

「もしかしてそれで遅刻したんですか?」

「朝高速が渋滞でな〜。地下に止めてるから行こ。」

わざわざ車で出勤してくるなんて!駐車代も高いだろうし、ちょっと私は戸惑ってしまった。

「あの〜じゃぁ駐車代半分払いますよ・・・」

「俺が勝手に乗ってきたんやから、気つかわんでえぇよ。」

「そうですか?」

私は彼の言うとおり甘えて財布を出さなかった。高級車とメンテナンス会社などの作業車がたくさんある中、吉田さんの四駆は型も古く結構目立っていた。駐車場から出てビル正面を通過するとき、知ってる人に見られないかドキドキした。
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