オフィスレディの裏の顔
 クリスマスがあけてすぐ、よっちは私の家から車で15分くらいのところに引っ越しを決めた。近所に住む元カノから去るように・・・年内に引っ越しを済ませたかったのか、年末の30日を引越し日と決めた。私は引越しを手伝いたかったのと、そのあとよっちと年越しをしたかったので実家へ帰省はしなかった。よっちは毎年帰省してたみたいだけど、私のそんな気持ちを察してか、年明け2日に実家に帰省することにしてくれた。私たちは年末恒例の紅白を見たあと、私の家で年越しそばを食べながら新年を迎え、その後、初日の出を見るため、よっちの車で千葉の勝浦方面へ向かった。

「眠かったら寝ててえぇで。着いたら起こすわ。」

「よっちも寝てないんだもん。私も起きてるよ〜。」

「そうか?」

「居眠り運転しないように見張ってる。」
よっちは笑ってた。私はいつも誰かの車の助手席に乗るとき、もし交通事故にあったら?この人と一緒に死んでもいい?と相手の運転技術をみながら考えてしまう。というのも過去にもの凄く運転の下手な彼に当たったことがあったから。私と話すのに夢中で、というか完全私のほうを見て話すから前方不注意で赤信号無視だったり、青信号になっても気づかず後ろからクラクションならされたり、最悪なときには追突したりされたり・・・それで一気に恋が冷めることは多々あった。よっちの運転は・・・私の好みのヤンキー風の運転ではないけど安心できて、いつの間にか安心して寝てしまっていた。

「バタン・・・」

ドアが閉まる音で目が覚めた。

「んっ・・・」

私は姿勢を正して座り直し、曇っている窓を手でふいて外を見た。海沿いに車は止まっていた。よっちが歩道で海を見ながらタバコを吸っていた。
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