オフィスレディの裏の顔
 オークラは私が卒業したら何をしたいのか、どんな夢があるのかなど色々質問をしてきた。私はまだ彼を疑っていたし、何か調査されえいるのだろうか?情報は悪用されないだろうか?と不安を抱きつつ、あたりさわりのない範囲で質問に答えた。そうして喫茶店に入って30分たったころだった。

「美鈴のやりたいことはわかった。これから私がサポートしてやる。今日はこのあと仕事があるからこれで帰るぞ。」

「はぁ・・・」

全てが一方的だった。今日はなんのためにわざわざ1時間かけてオークラに会いに来たのだろう。この程度なら電話でもよかったし、電車代も無駄だし・・・私はちょっとイラッとした。

「お茶ごちそうさまでした。」

オークラがお会計をすませるのを待って、一緒にお店を出た。エスカレーターで1階に降りると、そこには若者がたくさんいて、私はオークラとちょっと距離をおいた。

「じゃ、美鈴!また連絡する!」

オークラが少し大きな声で私の名前を呼んだので、周囲にいた何人かが私のことを見た。

「あ〜はずかしぃ・・・」

そう心の中でつぶやき、オークラに向かって手を振った。

 その後オークラから連絡がなくなったので、じぃさんのひまつぶしに突き合わされたのかと思っていたら、1週間後の休日に連絡があった。

「美鈴、今から会えるか?」

「今からって・・・私渋谷に出るのに1時間かかりますけど・・・」

「そんな面倒くさいところに住んでないで引っ越しなさい。自由が丘あたりにマンションを買ってやろう。」
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