お家に帰ろう。
「戸籍なんか関係ない!」

「そんなこと、明は望んではいませんよ!」

「はあ?!」

「明は、あなたときちんとした家庭を持ちたいと望んでいます。」

「!」

「…先程はまだ、ご両親は相手があなただと、ご存知なかったので、とても言いだせなかったのですが。…そうですか…大変、勇気のいったことでしょう。おかげでこちらの面倒が省けました。さっそく、話を進めなければなりませんね。」

「…」

「明の考えはこうです。…まず、自分の籍を、一度、大貫家へと」

「ちょっと待てよ!なんだよそれ!」

「最後までお聞きなさい!!」

「!」

「子供が生まれる前に、せめて、紙面上だけでも…婚姻手続きは急がなければならないでしょ?」

「?!」

「そうすれば二人は夫婦に…明もまた、上條家の一員になれるわけです。」

「え…それって」

「これが明の希望です。そして!明は言ってます。あなたと一緒になるのは、あなたの言うとおり、きちんと大学を出て、働き口が決まり、周りに認めてもらえてからで良いと!…覚悟をしているようです。」

「そんな!」

「これは、生まれてくる子供のためだそうです。」

「…」

「素晴らしい女性ですね。」

「…明に…会わせてもらえませんか?」

「今日は無理です。しかし、婚姻届けには二人で一緒にサインした方がいいでしょうね。」

「それは!…は…い。」

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