お家に帰ろう。
さっきまでの黄色い声援と違い、男子体育会系独特の地響きとも思える応援に
明は圧倒させられた。


「凄いんだね。」

「テニスとは違うよ。」

「…バスケは初めだ。」


ほんの少し、わくわくしていた。


両チームの5人の選手が、コートのセンターに向かい合って並び、
一礼して試合は始まった。


バスケット経験のない明でも、
ベンチに座る市川を見て、
スタメンではないことくらいは分かった。


「まだ1年だしな。」

「何も言ってないけど。」

「俺が思ったの。」

「声にでてるっつーの。」


でも、
隣に座る監督らしき男から、何か指示でも受けているようで…
耳を傾けながらも、コートから目を一時も離さない市川が気になった。


瞬きすら惜しむように
鋭い眼差しで試合を見つめる市川に、

(マジメ…?)

メールの内容を重ねると、そうゆうことになる。


(合コンの時は、強引な奴って思ったのに…)


試合の流れに目が付いていかぬまま、すでに第二ピリオドに入っていた。


45−21で、
だんとつ相手校リード。


残り5分をきった時、

「メンバーチェンジ!」

ついに市川がコートに立った。

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