お家に帰ろう。
翌日、学校が終わると、
いつも通りに友達と門をくぐる明だが、

「あれ?今日はこっち?」

「うん。ちょっと用事があって。」

「彼氏?」

「ん?うん。まあ。」

「な〜んだ!ウマくいってんだ!?」

「まぁね。」


いつもと違う方向の、
いつもと違う駅に降りたった。


そのままホームの椅子に座ると、
携帯電話を取出し、操作しながら、
時折、周りをキョロキョロ見渡している。


そんな様子を、
偶然、電車に乗り合わせていた、遥の彼氏の吉岡に見られているとも知らず。


(何やってんだろ?)


自分の家とは関係の無いホームで下車した、自分の彼女の妹である明を、
不思議に思った吉岡は、
気付かれないよう、離れた所から見張っていた。



そのうち、明の前に一人の男が立ちふさがる。


(こないだの奴かぁ。)


明は、微笑みながら立ち上がり、次にくる電車に乗るため、
二人でホームの列にそって並んでいた。


なんとなく、ぎこちなく見える二人は、入ってきた電車に乗り込んだ。


吉岡も違うドアから乗り込み、
会話らしい会話もせず、よそよそしい二人をみながら、
定期券外の駅に乗り越してまで、後を付けて歩いた。

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