お家に帰ろう。
二人は駅前通りを抜け、まだその先まで歩き続ける。


その間も、以前とは違う様子に、

(喧嘩でもしてんのか?)

なおさら食い付く吉岡。


そのうち、大きな通りに差し掛かると、その角を曲がり、二人の姿が消えた。


慌てて駆け寄る吉岡は、
そーっと角から覗き込む。


するとちょうど、男が手を差し出しているところで…


その手に、飛び付くようにして繋いだ明は、
首を傾け、何かを話しかけていた。


それを、微笑みながら頷く男。


(なんだよ急に?)


そんな二人は、仲良くマンションの中へと入って行った。


「ふ〜ん。妹の方がイケんじゃん。遥は不正解だったよ…コテッちゃん!」


さすがにそれ以上は偵察できず、吉岡は引き返すこととなった。


その途中、
思い出したかのように携帯電話をとりだし…

「あ、もしもし俺。今日も妹見かけたよ。…うん、こないだの男だった。仲良くマンションに消えてったけど。…………もちろんそーゆーことでしょ〜!…でさ、今から会わない?」


なんのついでか、
感化されたのか……?

「……じゃあ、そっち行くよ。」


急遽、会えるとになったため、
遥は嘘で友達を振りきり
見つからぬようにと、
家で逢うことにしたのだった。

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