【短編】私vs国連~大怪獣の足元で~
 私は隊長に肩をすくめた。

「今の国連本部って、どこでしたっけ?
 私、乗り物酔いが酷くて。
 タンカーみたいな船で、外国旅行になんか行ったら、大変なことに……」

「大月博士!」

「それに。
 ここで、怪獣は地域の皆さんと、穏やかに暮らしていますが。
 洋上や、新しい土地に行っても、おとなしくしてくれるとは限りません。
 こんなでっかいのが暴れたら。
 はっきり言って、私でも手がつけられない、なんてことに……」

「ソレなら、正式に処分が決まるマデ、麻酔でも何でもしておとなしくさせれば……!」

「……麻酔でずっと、眠らせる、ですって?」

 隊長の言い草に、私は、思い切り眉を寄せた。

「別に怪獣自身に非があるわけでもないのに、そんなひどい事はできません。
 それに、処分ってなんですか?
 国連のお偉いさんの采配一つで、怪獣は殺されてしまう、って事ですか?
 やっぱり、私。
 あなたたちとは、一緒に行けません」

 そんな、私の決断に、今度は隊長が眉を寄せた。

「今日は、何が何デモ、アナタを連れてくるように命令されてマス」

「そちらの都合なんて、知りませんな」
 
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