【短編】私vs国連~大怪獣の足元で~
「~~っ!」

 ボタンを押した瞬間。

 私の手元が見えた者は、全員。

 アタマを庇って、座り込んだ。

 ……何かが上から降ってくるモノと思ったらしい。

 けれども、いつまでたっても何も起こらず。

 ミサイルや、誘導弾や、その他もろもろの凶悪な兵器の代わりに。

 気持ち良く、爽やかな夏の風が吹きつけること、三分余りで。

 その場にいた人々は、ばらばらと立ち上がって、不思議そうに周囲を見回した。



「……やっぱり、ハッタリじゃないデスか」

 どんな新兵器が見られるのかと、まるで期待していたみたいに。

 ちょっと残念そうな顔をして、国連軍の隊長が言った。

「デハ、我々と一緒に来ていただけマスね?」

 そんな彼に、私はもう一度首を振った。

「……ですから。
 私は、乗り物酔いが酷くて、外国には行けないんですってば。
 船とか、飛行機に乗ったが最後。
 吐き気に襲われ、トイレから一歩も外に出られません。
 それがとても辛いので、私はここに留まって居たいのですよ」
 
「……乗り物酔いデスか」
 
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