【短編】私vs国連~大怪獣の足元で~
「ちびヒゲセンセ~
 ポチを叱っちゃ、ダメだよ!」

 ……ぽ、ポチ。

 ここにも、また。

 怪獣を犬扱いしてくれるヒトがいる。

 誰かと思えば、近所の悪ガキ三人組だ。

 年は……そうだな。

 十歳から十三歳くらいだろうか。

 見れば、三人の中で、一番年かさの男の子が、あわわっと、今私に、声をかけた子の口を押さえた。

「ちびセンセ、なんて言ったらまた、怒られっぞ!
 ちゃんと大月博士って言わないと!
 なにせ、いろんなモノを発明する、えらーーぃハカセなんだから、な!」

 その子は、どうやら。

 前に一度、私をちびヒゲと呼んで怒られたことを、覚えていたらしい。

 残りの一人も、私の怪獣をまぶしそうに眺めてからいった。

「そうだよ。
 だってハカセは、世界一の軍隊と対決できるほど、すごいヤツを作ったんでしょう?」

「世界一の軍隊って、国連軍のことか?」

 私の質問に、ガキ共は、よくわかんないや、とクビをかしげた。

 子供達につられて、私も怪獣の方を見た。

 こんなもので、日本の自衛隊よりも強く。

 建て前上は、アメリカの軍隊よりも力があるらしい。

 国連軍と対決出来る、なんて、ちっとも思ってなかったけど。

 ま、いいか。
 
< 4 / 21 >

この作品をシェア

pagetop