【短編】私vs国連~大怪獣の足元で~
ばりばりばり……
軍用ヘリコプターが数機と輸送用飛行機が、特徴的な音を立てて、やって来たかと思うと。
次々に落下傘を背負った兵士を吐きだして、旋回する。
地上では、私の家ウチと怪獣のいる砂浜周辺が、迷彩色のジープに取り囲まれた。
きゅる、きゅる、きゅる
なんて、嫌な音を立て、戦車も何台か公道を走ってくる。
ウチの近くの国道は、基本、戦車の通れる道ではなかったらしい。
戦車の自重で、アスファルトが立派にめり込んでいる。
それでも、パトカーどころか警察官一人やってこないところを見ると。
町で唯一の駐在さんは、怪獣に起された後、どっかで釣りでもしているのかもしれない。
ここのところ、まったく事件がなく、人の顔を見るたびヒマで何より、と笑っていたのを思いだしてた。
ついでに、厳重な報道管制でも引かれているらしい。
いかにも外国籍な軍隊が、一個大隊ほどウチを取り囲んでいるにも関わらず。
スキャンダル大好きなマスコミの姿もない。
反対に、何事が起ったのかと、わいわいと増えて来たのは、ウチの隣近所に住む一般人。
野次馬ぐらいだ。