【件名:ゴール裏にいます】
『Restaurant midoriの鳥』の急な階段では千尋ちゃんを胸に抱きかかえ、沙希ちゃんを先頭に登って行った。
沙希ちゃんがドアを開け中に入る。それに続いて僕と千尋ちゃんも入って行く。
「いらっしゃい。あら、勇次くん、いつの間に子供こしらえたのよ。私も歳を取る訳だ・・」
「そんな訳ないじゃないですか。知り合いのお子さんです」
「分かってるわよ。It's アメリカンジョークよ。三人ね、こちらへどうぞ」
比較的空いてる店内の窓際の席に案内され、千尋ちゃんは沙希ちゃんと並んで座った。
「ちょっと椅子が低いかしら?今取り替えてあげるわね。オーダーが決まったら呼んで。ごゆっくり」
midoriママが男性の店員さんに声を掛け、千尋ちゃんの椅子を高いものに取り替えてくれた。
「さて、何にしますか?千尋ちゃんはオムライスで良いんですよね?」
ウンと頷く千尋ちゃん。
「沙希ちゃんは?」
「うーん、どうしよっかなぁ・・ピザも美味しそうだし・・これも・・」
「じゃあ僕はミックスピザと野菜ステックとBudweiserにします。後で水割りも」
「えーっと、・・あたしやっぱりアメリカンステーキにする!セットで。後でチョコレートパフェね。千尋ちゃん一緒にチョコレートパフェ食べようね。ここの大きっくって一人じゃ食べ切れないの。いい?」
千尋ちゃんはウンウンと頷いた。常に沙希ちゃんの方を向いている。ニコニコとしながら。
「沙希ちゃん、ここのステーキもでかいですよ。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。血よ。今のあたしには血が必要なの」
「ちょ、そんな事子供の前で言わなくても・・」
「あら、千尋ちゃんは子供じゃありません。立派なレディーです。近い将来あたしの言う意味が理解できるはずよ」
「はあ・・ソウデスカ・・」
1対1でも分が悪いのに1対2では勝てるはずはない。僕は大人しく意見を取下げた。
「勇次くん、そのピザ一切れちょーだい。あ、千尋ちゃんも食べる?やっぱ二切れ。代わりにステーキ半分食べてね」
「ほら・・言わん――」
「美味しいねー!千尋ちゃん。やっぱり食事は大勢で楽しく食べるのがいいねー!」
(ダメだこりゃ・・)