白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



ぶつかり合わなきゃ、伝わらないこともある。


ケンカになっても、その後に何かが生まれるならそれはいいことだと思う。




今までの1年と2年は、お互いに気を遣い過ぎていて、お互いの場所に足を踏み入れようとしない感じだった。



川端のおかげで、その壁が壊されるかもしれない。




「人の気持ちって口に出さなきゃ見えないんだよな。だってさ、あんな生意気なアイツが、“先輩と仲良くなりたい”なんてかわいいこと言うんだからな」



俺はちょっとフザけてそう言った。


照れくさそうに笑っていた生徒だったけど、嬉しそうだった。





「川端は、お前らのことを恨んだり憎んだりしてないと思う。だから、これから…… 少し相手の気持ちを考えて行動すれば、もっといい関係になれるんじゃないかな。みんなの前で頭を下げた3人!! 俺は感動したぞぉ?」





冗談じゃなく、感動した。


いつも生徒に教えられる。




高校生は、ちっとも子供じゃない。


伝えたいことをちゃんと話せば、それをちゃんと受け取ってくれる。


自分で考えて、自分で答えを見つけることができる。





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