甘い夏 煙草の匂い
店員が静かに去った後、しばらく何も言えないでいた。
社長が大きく溜息をついたのをきっかけに、俺も口を開く。
「…社長、すみませんでした。軽率でした。」
俺をひと睨みし、やれやれという風に背もたれへ倒れた。
「ったく…。ガキじゃないんだ。その場の雰囲気で物を言うのが、どんなに怖い世界かわかってるんだろ?」
「はい…。」
「お前は趣味で音楽をやってるんじゃない。仲間も大勢のファンもいて、お前達の作った音楽にみんな金を出して買う。高い金を払ってライブを見に来る。
職種こそ違えど、お前も真那も立派な社会人なんだぞ。
真那は決して辞めるなんて事は口に出さない。体調が悪くても、あんな写真に怯えても、自分から休むなんて事は言った事がないんだ。
16の娘にできて、いい大人のお前がそんな事を言うのか?龍。」
ここぞとばかりにチクチク攻めてくる社長。何も言えず、じっとテーブルを見つめていた。
「ホント、すみません。ついカッとなって…反省しています。」
「あぁ…。私もつい頭に血が昇ってしまった。悪かったな。」