甘い夏 煙草の匂い
高速を降りてしばらく走ると、見慣れた街並み…。
確かこの辺りに…あった。
古ぼけた小学校の職員用駐車場で車を停めた。
「お前なぁ…人の心配より自分の心配しろよ!」
真那に体を向き直し、説教の体制に入った。
少々声が大きかったか…ビクッとしたまま返事も返って来ない。
「そんなんでフラつくような仕事はしてねぇよ…。
そんな事より、お前の方が心配だよ!
変な男に待ち伏せされて、襲われたらどうすんだ?!」
「…。」
「お前は何でも一人でできると思ってんだろ?
こんな世間知らずで、こんなちっこい体で、こんな細い腕で…」
胸の辺りで宙ぶらりんになっている腕を、グッと掴む。
「…何ができんだよ…。」
真っ直ぐに真那を見つめる。
真那も動けずに、真っ直ぐ俺の目を見ていた。
「…何かあってからじゃ遅いんだ。頼むから、少しは俺の言う事を大人しく聞いてくれ…。」
今すぐに抱きしめて、腕の中に閉じ込めたい…だが、微動だにしない真那の瞳から、目をそらせずにいた。