甘い夏 煙草の匂い
「どっ…どうした?」
なんとか背中に手を置く事ができ、ゆっくりと擦る。
「…少し」
「ん?」
「少しだけ…甘えても…いいですか?」
「…OK。どんとこい。」
俺の返事に、フフッと軽く笑う真那。
てっきり泣いてるのかと思っていた。
少しだけ体を離し、ゆっくりと話し始めた。
「…見られてる気が…してたんです。」
…またもや予想外な発言に、脳が追いついて行くのがやっとだった。
「…いつから?」
「だいぶ前…あのアパートに住み始めて、しばらくたった頃から…」
「ノゾキ?」
「…わからないです。意識しすぎかな?…って、勘違いかな?…って。」
無防備すぎる真那の考えに、イラッと来る。よくこんなんで生活してたな?
「あのアパートの住人に心当たりは?」
「住人と言っても…お隣さんだけですし。」
「下は住んでないの?」
「はい…カビが凄いらしいです。」
「隣のヤツはどんなヤツ?」
「さぁ…会ったのは数回ですし、挨拶しても素っ気ないですし。」
…なんとなく、どんなヤツか想像できる。