恋の唄
「そこでチャイムが鳴って結衣に知らせるのが今になっちゃったけど」
申し訳なさそうに言う伊織ちゃん。
私は笑って首を振って。
「そんなの気にしないで」
「ありがと、結衣」
「うまくいくといいね」
親友の恋を応援すると、伊織ちゃんは恥ずかしそうに頷いた。
そして口にする。
「それでね、今日なんだけど」
「うん?」
「今さっき真柴君からメールが来て、雨で部活はミーティングだけだから早く終わるらしくて」
そこまで言われて私は気付いた。
「デート?」
問うと、伊織ちゃんはコクンと首を縦に振った。