鏡の中のアタシ。
サナギなアタシ。
「アンタ、ばかじゃない?」
…と、美緒。
目の前で、しゅんとする里菜。
「ま、里菜らしいっちゃ、里菜らしいけどね。」
美緒が、片眉をまげながら笑うと里菜の顔も明るくなる。
今日2人は、久々に前はよく来ていたダイニングバーにいた。
里菜が雄也との事を、美緒に報告していたのだ。
「雄也にはね、笑ってて欲しいから。」
「そっか。」
里菜の言葉に優しく美緒がうなずく。
里菜の下した決断が正しかったかどうかは、わからない。
けど、相手を思う気持ちを持てるようになった事が、美緒にとっても、うれしい事だった。