鏡の中のアタシ。
蝶は、幼虫からサナギになり、やがて羽化して、大空に羽ばたける大きな羽をてにする。
里菜にとって、初めての恋、初めての別れを経験して、今は充電期間のようなものだ。
そう、蝶ならサナギ。
相手の事をちゃんと想えるそんな里菜だから、きっと大きくて綺麗な羽を手に入れられるだろう。
久々にリフレッシュして軽やかな足取りで歩く2人のそばで、小さく可愛らしい紋白蝶が、舞踊るように飛んでいく。
清々しい春の空が暖かく包み込み、2人の姿を眩しいくらいに照らしていた。
地面には、仲良く並ぶ2人の影が映し出されていた。