鏡の中のアタシ。
どこまでも空気を読めない明日香は、“それ”に近づき手にとる。
「かわぃーっ!忘れたのかなぁ??届けますかぁ?」
「はぁ…。雄也はこいつといて平気なのか…?。明日香、それはダメだ。俺が預かっておく。」
怒る。を通り越して大地はうなだれていた。
“それ”の扱いは、決まってはいないが、このままここに置いて行くわけにはいかないと思った。
「はぁーぃ。」
しぶしぶといった態度で、明日香は大地に“それ”を渡した。
「里菜チャンは、誰よりも雄也を想っていた女だったよ。お前も、引っ付きまわって彼女ヅラするより、やる事あるんじゃねーの?」
「えー?ひどい…。なんですかぁ?」
「その曲がった根性直すことだよ。」
明日香は一瞬だけ大地を睨んだが、すぐに上目遣いに戻り、ひどーいって、涙目で拗ねてみせた。
明日香は、いわゆるぶりっこだ。
雄也は、付き合いを承諾したつもりはないが、いつもまわりに付きまとう明日香を、遠ざける理由もなかった。
いつのまにか、明日香は雄也の彼女だと思われるようになっていた。