鏡の中のアタシ。
明日香は、したたかな女だ。
4月に大学に入り雄也に一目惚れをしたが、常に周りに人がいる雄也に近づくのはなかなか困難だった。
それでも、毎日挨拶をして、いつの間にか挨拶を返してもらえる関係にまで近づく。
次は、雄也を狙ってる女の排除。
常に雄也の隣をキープし続け、2人で1セットのイメージを擦り込ませる。
得意の言い回しで、誤解させたり、勘違いさせたりしながら、少しづつライバルを蹴落としていった。
その結果、やっと今のなんちゃって彼女までたどり着いた。
ただ、どうしても気になる事があった。
雄也の近くにいる時に、しょっちゅう耳にする名前があった。
でも、一度も見た事がなく、気になって気になって仕方がなかった。
その名前は――――里菜。