鏡の中のアタシ。
「おめでとぉ−!ってアンタ何の冗談?余韻に浸り中かぁ?」
夜、たくさんの手土産を持って里菜の家に現れた美緒は開口一番にそう言って笑った。
「ははは…」
軽くわらって誤魔化して、美緒のその様子をみた里菜は、今夜が長い夜になりそうだと、1人心の中で覚悟した。
カチッ
フッー
「あれ?里菜、灰皿は?」
ソファーに座り、タバコに火を付けた美緒がキョロキョロしながら辺りをさがしながら里菜に尋ねた。
「あ、ごめん。今出すね」
キッチンの戸棚の下にしまっておいた灰皿を出す。
「なに、里菜タバコやめたの?」
「あー…うん。あのね?」
里菜は、今が話すタイミングだと思い、目の前のビールを一気に飲み干し、力ない声で、少しずつ美緒に語りはじめた。
里菜は、どうしても美緒に聞いてほしかった。
美緒にわかってほしかった。