鏡の中のアタシ。


「うわぁー…ひどい顔だぁ…」

泣いたせいで、中途半端に崩れた化粧は、本当に変で里菜は、落胆した。


けれど、顔を洗い鏡を見ると鏡の中の顔は、決して暗い顔なんてしていない。


大好きな雄也がいて、雄也との関係が戻る為に、怒られる覚悟で嘘をついてくれた美緒がいる。

どんな時もおチャラけてくれて、場をなごませてくれる大地。


すごくすごく幸せだった。

例え化粧がボロボロだって、落ち込みきれない。


「にぃーっ」

里菜は、鏡に向かって笑いかけてみた。

作った笑顔なんかじゃない。

久々にホントに笑った顔だった。



今日鏡の中のアタシは、
気持ちを隠しきれない
満面の笑みだった―――。

まるで、鏡の中の里菜も里菜に笑いかけてくれているようだった。



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