鏡の中のアタシ。


「え!?海!?マジ!?顔洗ってくるーっ!!!」

大地は、突然のイベントに大賛成の様で、今起きた直後だとは思えない速さで、洗面所へ消えていった。

その様子を目で追っていた雄也は、とりあえず一服させて。とタバコを吸っていた。

雄也は、ノリ気な様子は見せないものの、何も言わないところから、賛成しているのだろう。


程なくして洗面所から戻ってきた大地は、里菜にむかって親指を立てて口パクで“グッジョブ”と満面の笑みを向けた。


「里菜。」

雄也が里菜を呼ぶ。

里菜は、ちょこんと隣に座ると雄也は里菜の頭に手を置いて、小声で『張り切りすぎるなよ。』と耳打ちした。

里菜は、雄也に向かい敬礼のマネをして、『ラジャー』と同じように小声で答えた。

それをみて雄也は、小さくため息をつき、無事に帰宅できる事を祈った。


―――そう。
この計画は、里菜がさっそく大地の為に用意したサプライズイベントだった。


車に乗り込んだ4人。
車のルームミラー。
うっきうきの里菜と大地。
何も知らずに海を楽しみにする美緒。
不安を隠しきれない雄也。

それぞれの感情をそのまま写し出していた。

一夏のいい思い出になる事を静かに見守りましょう…。


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