鏡の中のアタシ。
何かを変えるって事が、なかなか大変だと思った。
長く勤めたバイト先には、思い出もたくさんあった。
夏の暑い日には、トラックの運転手さんがジュースを買ってくれたり、いつも水曜日のレディースデーにくる主婦は、必ずいつもありがとうと、あいさつしてくれた。
飲み会があったり、洗濯物のジャンケンしたり、和気あいあいとした職場で、また楽しく働けるバイトを探せるか不安だった。
それでも、一度決めた事だ。
清純派な里菜にはガソリンスタンドは似合わない。
頭を振り切った。
<里菜チャンのイメージにピッタリ☆>
パスタ屋に行った時の雄也の言葉を思い出した。
「うん次は、制服も可愛い飲食店だな。」
すべて雄也好みに変える。
滑稽だと笑うだろうか?
必死だった。
雄也をちゃんと見ようと。
雄也の為にちゃんとしたいと。
―――好きになろうと。
好きって、なろうとしてなるものでもなければ、無理してまでするものでもない。
でも―――。
それは、傷つきながら迷いながら気付くものなんだ。
里菜はまだわからない。