鏡の中のアタシ。
「ん…」
「あ、里菜起きた?顔ひどいから洗ってきな。」
「はぁー…い」
里菜が起きたときに淋しくないように、先に起きておいてあげたかった。
まぁそれだけじゃなく、洗濯したり色々やる事があったんだけど…。
「うわぁー…」
洗面所で里菜が叫んでいる。
一日中泣きまくったせいで、腫れまくった目は、アイメイクで誤魔化せそうもない。
「美緒しゃん、コレ…」
里菜は目を指差しながら戻ってきた。
「うん、だからヒドイって言ったのよ。冷やしておきな。」
「はぁい…」
「じゃ、朝ご飯にしよ♪」
美緒から冷えたタオルを受け取り、里菜はのろのろとダイニングテーブルについた。
朝のリビングには、焼けたトーストとコーヒーのいい臭いが漂い、眩しいくらいの朝日が差し込んでいた。
美緒は、この清々しすぎる朝が、里菜の背中を押してくれることを祈っていた。