鏡の中のアタシ。
「本当は、別れたくないんだ…」
「でももう一緒にいられないじゃん?」
「でも、ちゃんと話さなきゃね…」
「…………」
ポツリポツリと話していた里菜だが、別れの単語を出すとそれを最後に話さなくなった。
美緒もまた、黙ったままだ。
どう話せばいいのかわからなくなった。
なぜいきなり別れる話を、考えているのか、わからなかった。
里菜が本当の意味で変われて、雄也が人として里菜を好きなら、別れまで発展する話ではない。
でも美緒からしたら、あまり知らない雄也の事を、大丈夫といって背中を押してあげるのは、むずかしかった。
マグカップには、それぞれ別々に苦悩を抱えた2人の顔が映っていた…。