鏡の中のアタシ。
次の日の朝、昨日あのままにしてしまった携帯を確認して、出かける用意をしていた。
白いニットのアンサンブルに、スウェード生地のパンツを合わせて、髪を丁寧にストレートにブローする。
昨日の黒いバックから、小さめの薄いピンクのカバンに荷物を詰め替えて、最後に細部まで念入りにチェックする。
全身鏡の中では、どうみても、ピアノが趣味です。とか言いだしそうな清純派な女の子が微笑んでいた。
そう、携帯には、雄也からデートのお誘いのメールが来ていたのだ。
“お昼に待ち合わせて映画に一緒に行こう”と。
時計を見ると10時を回ったところだった。
待ち合わせは、12時だから焦ることもないと思った里菜だったが、落ち着かなくて、早めに家を出る事にした。