鏡の中のアタシ。
忘れてしまってる事は、意外となかなか思い出さない。
きっかけさえあれば、出てくるのに…。
でも…
気付かない方が良かったのかな…。
いつもどおり雄也と里菜の家でまったりしていると、雄也の携帯が、鳴る。
雄也の仲良しグループから飲みの誘いだ。
「今女といるから俺、パス☆」
いつもなら行きたがる飲み会よりも、一緒にいる時間を優先してくれた事がうれしかった。
“女といる”
その表現にも、浮かれていた。
ちょっとワイルドじゃない!?
なんて、上機嫌だった。
だからまた見落とした。
前の雄也なら、
“今里菜チャンといる”
毎回必ずそう答えていた事を…。