地味なあたしと不良軍団
悠真はため息をついたあと、好きにしろ。と答える。
二人で道を歩く。
依奈は珍しく自分から口を開いた。
「…悠真くん、あたしに知る権利ないかもだけど…前の学校で、何があったの?」
彼は無表情で口を動かす。
「…高1のとき、仲良かったヤツが先輩に目ぇつけられたんだ。」
「うん…」
「屋上で喧嘩になったらしくて、俺も聞いたあとすぐに向かった」
悠真の表情が、一瞬だけ曇って見えた。
「けど、その時はまだ喧嘩の仕方も分からなかったからな。何もできずにただボコられてんのを見てるしかできなかった。」
体が硬直したんだ。
助けを求める瞳と、
流れていく血。
弱い俺は、 なにもできない。
「その事が先公にバレて先輩は即退学。…ボコられたそいつは入院。…一年、帰ってこなかった。」
「でも、それは悠真くんが悪いんじゃないとおもう…」
悠真は依奈の言葉を無視し、再び話し出した。
「高2のとき、やっと退院したソイツが真っ先に始めたのが俺を同じ目にあわせるっつー事だった。」
友達だと思ってたのに。
脳に声が蘇る。