地味なあたしと不良軍団

抱き締める腕に力をこめた。
依奈は奏の匂いに安心する。

しばらくして、解放されれば手を握られた。
「行こう、」

「悠真くんも、いこう?」

依奈が声をかければ奏が眉をひそめる。

悠真は可笑しそうに笑い、二人を見た。

「…そういえば、なんで奏くんいたの?」
「俺もコンビニ行きたかったんだよ」

視線をそらし、恥ずかしそうに答える彼に依奈は笑った。

「そっか!」

ぎゅっと奏の手を握り返した。
やっぱり、奏が好き。

恋愛とか関係なく、彼が好き。

奏は悠真の様子を横目でみて、ほら、とあいている手を差しのべた。

「…は?」
「寂しいと思って。手繋ぐか?佐藤サン」

「ふざけんなよ」
ぱしっと軽く払い、声に出して笑った。

「俺は、お前みたいにお子様じゃねえんだよチビ」

「チビじゃねーよ!」

「165しかねえんだろ?」
「166だ!」
いつもの雰囲気に戻ったみたいだ。

「…依奈と身長変わんねえだろ」
「変わる!!三センチ変わる!」

ムキになって言い返す彼が可愛い。
< 110 / 178 >

この作品をシェア

pagetop