地味なあたしと不良軍団
抱き締める腕に力をこめた。
依奈は奏の匂いに安心する。
しばらくして、解放されれば手を握られた。
「行こう、」
「悠真くんも、いこう?」
依奈が声をかければ奏が眉をひそめる。
悠真は可笑しそうに笑い、二人を見た。
「…そういえば、なんで奏くんいたの?」
「俺もコンビニ行きたかったんだよ」
視線をそらし、恥ずかしそうに答える彼に依奈は笑った。
「そっか!」
ぎゅっと奏の手を握り返した。
やっぱり、奏が好き。
恋愛とか関係なく、彼が好き。
奏は悠真の様子を横目でみて、ほら、とあいている手を差しのべた。
「…は?」
「寂しいと思って。手繋ぐか?佐藤サン」
「ふざけんなよ」
ぱしっと軽く払い、声に出して笑った。
「俺は、お前みたいにお子様じゃねえんだよチビ」
「チビじゃねーよ!」
「165しかねえんだろ?」
「166だ!」
いつもの雰囲気に戻ったみたいだ。
「…依奈と身長変わんねえだろ」
「変わる!!三センチ変わる!」
ムキになって言い返す彼が可愛い。