地味なあたしと不良軍団
「あたしは、二人とも好きだよ!」
口論をやめ、二人は依奈を見つめた。
呆気にとられたような表情。
「…依奈らしいな。」
奏はため息をついた。
彼女に一人の男として好きだと言わせるには、まだ先は長そうだ。
*
「つか、遅いんだけど!」
家では、秋と薫が暇潰しにゲームをして二人の帰りを待っている。
「依奈ちゃんが出てった言ったら奏ちゃんも慌てて出てったなあ」
薫は可笑しそうに笑う。
「…なんで、そんなに余裕なんだよ?」
依奈ちゃんの事好きなんだろ?
「…依奈ちゃん、誰が好きやと思う?」
「…知ってたら苦労しないよ」
「依奈ちゃんな、オレが好きなんやて」
「はあっ!?」
ナルシスト発言に秋は一歩下がった。
テレビには、ゲームオーバーの文字。
「どうせ嘘だろ」
「そやったら、残念やなあ」
「…薫」
どうしてそんな事が言いきれるんだ。