地味なあたしと不良軍団

恵美の言った通りだった。すぐに見えた大きい屋敷から相当な金持ちだと予想できる。

「すっげ~!!」
秋の声に奏がため息をついた。
バイクからおりて迷うことなくチャイムをおす。

『はい、どちら様でしょうか。』
「大地、そっちに居るんだろ」

受け答えをしてくれた人物を軽くスルーして言った。

早く、依奈を返して欲しい。

『大地様は、今、『あ、俺ならいるよー』

明るい声音でインターホンの向こうから聞こえる。

無性にイラだった。
「依奈をかえせよ」

『え、今は無理かな』
「じゃあ、無理やりででも。」

ガコン
いとも簡単に鍵を破壊し、門をくぐって屋敷に侵入した。

「壊すのはよくないんじゃ…」
恵美の訴えを無視し、他のメンバーより足が遅い彼女の腕を引く。

「おせぇよ。…お前が居なきゃ、屋敷の中わかんないんだから。」

道案内よろしく。

ドクン、
奏の笑顔が、脳内に焼き付いて離れない。

(…私、どうして、)
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