地味なあたしと不良軍団

「…俺が行ってくる!」
「あ、危ないよっ!」

依奈は秋を止めるが、彼はお構い無しで玄関へと向かう。

「…秋?」

秋が戻ってこない。

「…あたしが見てくるね」
「あ、ああ…」
依奈は心臓をバクバクさせながら玄関へ向かう。

「あれ?」
秋の姿はない。
どこへ行ったのだろう。

「奏くん、秋くんいないよー?」
外まで確かめようとドアノブをまわした時だった。

「君は誰だ?僕の奏くんは?」

ハア、ハァと荒い息を繰り返す太っている男。
依奈は驚いて一歩下がった。

少しずつ近寄ってくる男。依奈は震える体で構えた。

「…か、帰ってくださいっ!」
「奏くんも一緒にぃ!!」

一歩、男が家の中へ足を踏み入れたとたん依奈は足を振り上げた。

ドゴォ、
痛そうな音が鳴る。
「ご、ごめんなさいっ!」
まわし蹴りは男の横腹にあたり、彼は苦しそうに喘ぐ。

「っ、ひ、ヒドイ…!!」
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