地味なあたしと不良軍団

「だ、だって…そっちが、家に入ってくるから…」

男は苦しそうに喘いだあと、その場で気絶した。
依奈はやりすぎてしまったと大慌て。

「き、きゃー!奏くん!奏くん!」
「なんだようっせーな!」
「倒れちゃったの、あ、あたしっ…」

「とりあえず落ち着け」
な?、と依奈の頬を両手で挟むと彼女はこくこくと頷いた。

見つめられている事に頬を赤くすると、奏は可笑しそうに言う。
「…何照れてんだよ」

「だ、だって、…っん!?」
急に引き寄せられ、唇が自分のそれに触れた。
「ん、ちょっと…ふ、」
だんだんと激しくなってくる。

このまま唇が食べられてしまうんじゃないかという考えが過った。

ちゅ、
リップ音を残して、奏は離れる。
「…可愛い、依奈。」
「な、なんか今日の奏くんっ、可笑しくない?」

「…普通だけど」
お前が可笑しいんだろ、と言葉を残して気絶している男を見下ろす。

「…あ、」
「どうしたの?」
「…秋の兄貴じゃん」

…。
< 64 / 178 >

この作品をシェア

pagetop