地味なあたしと不良軍団

「…だれ?」
「橘薫(たちばな かおる)。1年やで」

「その1年が、依奈に何の用なのよ。」
170はありそうな身長の彼を見て、恵美は睨んだ。

「ただの挨拶やて。友達のお姉さんに何もしいひんのはあかんやろ?」

何かたくらんでるような表情で依奈を見る。
登校途中の女子生徒が嫉妬の眼差しでこちらを見てくる。

痛い視線の中、依奈は勇気を振り絞って声をだした。

「…おはよう、橘くん。じゃ、じゃあ急いでるから。」

恵美の制服を引っ張って早足で彼から離れる。
心臓がこれでもかというくらいバクバクいっている。

「…依奈?」

横から依奈を見れば、顔を真っ赤にした彼女が目にはいる。

「…依奈、アイツに惚れた?」
「っな!、そんなことないよ!!」
林檎のように頬を赤くする依奈に恵美は疑いの眼差しを向ける。

相手は1年。
けれど、そうは思わせないような雰囲気に惑わされそうになる。

「あたしは、奏くんが好きなんだから。」
「ブラコンよね、あんた」

「だって、カッコいいんだもん///」
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