地味なあたしと不良軍団
居候生活②
*
「はあ」
依奈の親友、恵美は自室で一人悩んでいた。
恵美は依奈の気持ちに気付かないほどバカではない。
「橘、薫」
小さく声にだしてみた。
彼がすき。
誰にも譲りたくない。
付き合っているのに、彼は自分に振り向いてくれない。
目線はいつも依奈へ向いている。
どうすればいいんだろう?
がちゃり、
急にドアが開き吃驚して振り向く。
「よお。」
「か、薫?なんで勝手に人の家あがってんのよ」
「ちゃんとオバサンに案内してもろたわ。メールしたのに気づかん方が悪いやろ」
「あ…ごめん」
電源を入れてなかった。
恵美は苦笑する。
「…なあ、恵美ちゃん」
「ん?何?」
「今のあんた、めっちゃキモいで」
「…え?」
どくん、どくん
心臓が高鳴る。
「その表情…ハァ、オレはアンタに興味ない言うたやろ?」
もちろん今も。
「どうして…そんなこと言うの、」
自然と声が震えた。