お嬢様はヤンキー様。
寝室から出ようとした時、
「にぃにー、にぃにー、」
とピーピー泣きながら袖を引っ張ってきたのは3男の敦だった。
「どうした?」
「さきと、みきが、ママがいないのは…ひっく…あつしのせいだって…ひっく…いった…ひっく…」
そう言ってめそめそ泣く敦。
とりあえず敦を抱き上げ、ポンポンと背中を叩く。
リビングに行くと、美紀と沙紀が駆け寄ってきた。
ちなみに美紀が長女、沙紀は3女。二人とも五歳。敦も五歳。
「にぃに!」
美紀はそう言ってグイグイ手を引っ張る。
「なに、どうしたの。」
「あつしが、きのうママきらいっていったんだよ。
だから、ママいないんだよ。
あつしがわるいんだよ。」
美紀がそう言うと沙紀もそーだそーだと言う。
はぁ、なるほどなぁ。
……あ、いい事思い付いた。
なかなか泣きやまない敦をなだめながら、俺はニンマリと笑う。
「違う、いいか、ママがいなくなったのは、パパのせいだ。
敦じゃなくて、パパを蹴っ飛ばせ、美紀、沙紀。」
と言うと美紀と沙紀は、寝室のほうをじーっと見て、
「「わかった!」」
と、駆けて行った。


