地下
「そうですよ、この学校に地下なんてあるはずないんです」


愛華の言葉に紗絵子が少し震えた気がした。


手を握っていなければ分からない程度の。


「じゃぁ、なんなんですか…存在しないはずの地下がいきなり現れるなんてありえないわよ」


紗絵子の言う通りだった。


現実に非現実的なことが起こるなんて考えられない。


「だからですよ!こんな場所に留まって居るわけにはいかないんです」


徹は焦るような声で言うと愛華の方を見て青ざめた。


「…っひ…うしろ」


「え?」


紗絵子の手からするりと愛華の手が抜ける。






無数の手。


白い血の気のない手が暗闇から伸びていた。


「愛華さんっ」


「ひっ…いや、助けて…」

…ズル


ズルズル……


「たす……て…」




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