桃太郎【Gulen】
「父上に、出雲の鬼を退治せよと命じられてな。」
「ほぉ」
「兵をいくばくか貸して欲しい。」
「防人をか・・・また、尊大に出たものよ。それを頼みに来たというに、お前はわらわに、頭の一つも垂れぬか。」
当然。
「貴殿にとって、特ある用事できたのだぞ。どうして俺が頭を垂れる必要がある?」
出雲の鬼退治。
それに対して、兵を貸したとなれば、輝夜姫は、大和と出雲の両国に恩を売ることが出来る。
コレほどまでに、得な話、願ってもそうそう舞い込んでくるものではないぞ。
「確かに。ならば、一つ聞こう。主はスサノオウに鬼退治を命じられたと言ったな。」
「あぁ。」
「ならば、なぜにお前の兵はそのうつけ者一人なのだ?従者としても、その人数は少なすぎだろう。」
やはり、気がつかれたか・・・。